湿度には、絶対湿度相対湿度のふたつがあります。
絶対湿度は空気中に含まれる水蒸気の量のことで、通常一立方メートルで計測します(その場合の単位はg/m3)。
相対湿度は、絶対湿度をそのときの温度の飽和水蒸気量で割ったもので単位%。
そして我々が日ごろ湿度と言っているものは相対湿度を指します(以下、単に湿度と記した場合も同じ)。
 img56315873.jpg
さて、同じ体積でも暖かい空気は含むことのできる水分量が多くなり、逆に冷たいと少なくなります。
たとえば、30度の空気は最大30.4g/m3の水分を含むことができるのに対し、10度の空気は最大9.4g/m3の水分を含むことしかできません。これが「飽和水蒸気量」。
ちょっとわかりにくいですかね。
言い方を変えると、気温30度で相対湿度が50%のとき絶対湿度は15.2g/m3で、気温10度・湿度50%だと4.7g/m3になります。

これを6畳間にあてはめるとどうなるか。
一般的な天井高2.4mで部屋の体積を求めると、
6畳(9.9m2)×2.4=23.76m3
ですから、

室温:湿度
空気中の水分量
30度:50%
   361.2g
20度:50%
   204.3g
10度:50%
   111.7g
このようになります。
この計算は家具も何もない状態のものですけど、具体的な量より比率を見てください。
同じ湿度50%でも、温度が30度から10度に下がると空気中に含まれる水分は1/3以下になってしまいます。
「%」であらわされる、いわゆる湿度が同じでも、室温や気温によって空気中の水分量はこれだけ変わるのです。
 
あまり暖めない寝室で、「湿度を50%以上にしてるのに、寝てるとノドや鼻が痛くなる」なんていうのはそれが原因なんですね。
粘膜が乾燥に弱い人は、そのへんを理解して温湿度管理をする必要があります。

インフルエンザにかかったとき、お医者さんが部屋を暖めるように言うのも理由は同じで、空気中の水分を増やさないと(=絶対湿度を上げないと)浮遊ウイルスを死滅させることができないからです。


また、部屋の上と下では温度が異なるのが普通ですから、測定する高さで湿度も変わってきます。というより、部屋全体が均一な温湿度になることはあり得ません。場合によっては数センチの差で測定値が変わります。
なので、部屋に温湿度計を設置するならドアと窓の中間くらいの位置で、普通に過ごす姿勢の顔の高さに合わせるのがいいと思います。
一度、天井付近と床のあたりを測りくらべてみると面白いかもしれませんね。

ヒント

  • ※湿度計は、5%くらいの誤差は普通にあります。
    研究室で使うような何万円もする測定器でも、測定精度±3%なんかザラ。
  • 湿度を正確に測るのは、とても難しいことなのです。
    とくにデジタル湿度計は、「湿度が上がると電気抵抗が少なくなる」センサーを用いるのですが、その湿度と電気抵抗の関係のリニアリティが悪い(グラフにすると直線ではなく曲線になる)上に温度の影響をモロに受けるので補正がむずかしく、さらに安物のセンサーは抵抗値のばらつきが大きいので、ホームセンターや家電量販店で売られている比較的安価な製品は誤差が10%以内ならラッキーくらいに考えておいたほうがいいでしょう。
  •   デジタル温湿度計      同じ製品を2つ置いてみたら、温度は同じなのに湿度が19%も違う!
  • こうなるともう、どちらが正しいのか、あるいは両方間違っているのか訳がわかりません。
  • 温湿度計を買うときは、ネット通販を使わず店頭で複数の機器を見くらべてみる必要があります。 
  •  温湿度計
  • この4台でいうと、温度はどれも同じですが、いちばん右の製品は湿度が大きく異なっているのでNG。同じ型番の製品でもこういうことはよくあります。
  • また、湿度計は経年劣化が激しい(=測定精度が落ちていく)ので、なるべく新しい製品を買うようにしましょう。


ところで、空気中の水分には結露発生温度(露点温度)があり、たとえば室温20度・湿度50%に設定した部屋の空気が、暖房を入れてなくて9度以下の廊下に流れ出すと廊下の壁などに結露が発生します。

部屋の中でも、外気に直接触れて冷たくなっている窓ガラスは容易に結露します。
結露するというのは、空気中の水分が水滴となって奪われることであり、いってみればシングルガラスの窓は除湿機のようなものなのです。
そのため、外気温が10度を下回る乾燥した日に、ペアガラスなどで対策していない部屋の湿度を50%より高く保つことはまず不可能といえます。

部屋で鍋料理でもすれば一時的に湿度が急上昇しますけど、結露が激しくなっていずれ湿度はもとどおり。
というか、換気せずそのような状態を放置したり、あるいは湿度センサーが内蔵されていない安物のスチーム式加湿器で加湿し続けたりすると、窓だけでなく普段は結露しない壁までビショビショになってしまうかもしれません。
そんなふうでは、快適とはまったく言えませんね。
「うるおい」などというと言葉の響きはいいですけど、加湿し過ぎには注意が必要です。


次に、一般的な健康対策について考えてみます。
インフルエンザウイルスは高温多湿に弱い、というのはみなさんご存知のとおり。
おおまかにいうと、温度が20度のとき湿度40%だとウイルスの生存率は20%で、湿度を45%以上にするとそれが5%まで減少。
湿度65%で生存率はほぼ0%になります。
加湿器の効果としてよく謳われていることですね。

一方、湿度が上がると元気になるのがダニとカビ菌。
ダニは湿度55%から、カビ菌は60%から活動が活発化していきます。
 カビ
以上を考えあわせると、アレルゲンでもあるダニやカビ菌を含めた一般的な健康対策には、湿度45~55%が適していることがわかります(温度20度の場合)。
加湿器の自動コントロールが目安としている湿度60~70%は、むしろ怖いものなのですね。
ですから、大勢の人が出入りすることでインフルエンザウイルスを広めてしまう可能性があるオフィスや学校はいざ知らず、ウイルス対策のみを強調して一般家庭に加湿器を売り込むような宣伝は、私はするべきでないと考えます。
粘膜が乾燥に弱い人でも、部屋の加湿にだけこだわるのでなく他の策も講じるべきでしょう。

ポイント

  • ※なるべく正確な温湿度計を購入して、部屋の温度と湿度をきちんと測ってみることが快適な暮らしの第一歩です。
    大切なのは単なる加湿ではなく湿度管理だということを覚えておいてください。

ちなみに、カラカラ天気が3週間以上続いた年は必ずインフルエンザの大流行が起こっています。
そして週に1日でもしっかりとした雨が降った年は大流行が起きていません。
家の湿度管理だけではインフルエンザ対策として不充分ですので、このことも頭に入れておいて、晴天が続いたら手洗いやうがいを普段以上にしっかりやり、外出時にウイルスを吸い込まないようマスクをするなどされるとよろしいと思います。